さて、たまにやる書評シリーズです。
今回は↓の小説。
病巣 巨大電機産業が消滅する日
小説自体、読むのが久々なのですが、どんどん読み進めたくなる、テンポの良さが光る一冊です。
中心的な題材は、かの有名な東芝の粉飾事件。それに加えて、
- 社内での権力・派閥争い
- 左遷人事
- 社内の様子に心を痛め葛藤する社員
など、やや「誇張」はあるものの、現実の会社でありそうな描写で埋め尽くされています。
ここでは、単に「面白かった」ではなくて、自分自身の経験等にも照らし合わせながら、考えたことをまとめます。
組織はトップ次第
まずはこれ。
サラリーマンは、良い意味でも悪い意味でも「組織人」です。
組織人は、上司からの指示には、基本的には従わなければならない。なぜなら、その原則が守られないと、組織としての動きができないから。
ただ、それが悪い方に触れると、社員は「思考停止」の状態となり、上司の言われた通りにしか動かない「ロボット」になってしまう。
そんな状況を生み出すのは、どんな上司か?
- パワハラ上司 →これは論外。会社から与えてもらっただけの「権力」を盾に、部下に対して横暴な態度を取るなんて、正直恥ずかしい。
- 重箱の隅をつつく上司 →これは、上司の「位」にもよるのでしょうが・・・上司にはその階層に応じて、「見るべきところ」があります。例えば、社長が文章の「てにをは」をチェックしたり、たかだか係長が「この施策は、会社の戦略と照らし合わせると・・・」とか言ってる状況って、ちょっと、ではなくて「かなり」違和感があります。
個人的に、まずいと思うのは2つ目のタイプ。
「そんなことまで見られるんですか・・・」となると、部下は間違いなく萎縮し、疲弊します。
実際、僕も経験あります。その他に・・・
- 自分でやる上司 →これは個人的には耳が痛いですが、あると思います。部下からしたら、「●●課長がやってくれるわ、ラッキー」てな感じです。そうやって部下が動かなくなっていく・・・。
これ、上司・部下の双方にとってデメリットありだと思います。
部下は、その仕事を通じて成長する機会を失います。これはわかりやすい。
一方、上司は「人を使って仕事をする経験」を積むことができません。組織では、階層が上がっていくと、「人を使って仕事ができ」ないと、大きな仕事に関与できません。出世していくには、人を使うスキルを高め、「器」を大きくしないとダメですね。
何のために働いているのか?
この本では、権力闘争・派閥争いの様子がまざまざと描かれています。彼ら・彼女らは何のために働いているかというと、とどのつまり「自分のため」に働いているのです。
- 評価されたい
- 出世したい
- 収入を上げたい(落としたくない)
決して「会社」のために働いてるわけではないのです。
ただ、僕は「原理主義者」なので、これ自体は否定しません。と言うか、「そりゃそうやろ」と思います。
本当に会社のことを思い、会社のために身を賭して働くのって、
- 創業者
- 株主
- その会社が好きで入社した人
とかしかいないんちゃいますか?。大多数の人にとって、会社は本質的には
- 収入を得る場所
- (出世・評価を通じて)承認欲求を満たす場所
でしかないのでは?と思います。
「会社がなくなったら働く場所を失うことになるから、みんな会社のために懸命に働くようになるのでは?」との指摘もあり得ますが、会社がなくなれば「働く場所を変えればいいだけ」です。それは、ある意味サラリーマンの「特権」とも言えます。
本質的には、何も策を施さなければ、みんな「自分のことしか考えない」と思うのです。ただ、それでは組織運営はできないし、会社として顧客にサービスをお届けできないので、「会社のため」とのバランスが必要。それをやるのが経営トップだったり、上位職層だったり。
そんな人たちが「自分のことだけ」考えてたら、そらあきませんよ。末期の会社って、そうやってバランスを崩してしまうのでしょうかね?🤔
品格は失いたくない
自分のために生きることを、僕は否定しません。
だから、自分の出世のために、誰か「勝ち馬」の上司を見つけて、その人に媚びるサラリーマン人生を送ることも、全然ありです(僕はしませんが)。
でも、その「勝ち馬」が「勝ち馬でなくなった」とき、どんな行動に出るのかに、その人の品格が出ますね。
- 勝ち馬と思っていた人を支え続ける
- 勝ち馬を見放す
本書の中に、「勝ち馬」が失脚しかけているのを見て、その勝ち馬から離反し、その上「追い落とす」ような発言をする社員の姿が描かれています。
現実にこんな人がいたら・・・キツイですねぇ。まぁ、自分の会社人生が掛かってるわけで、必死になるのも分かるけど、さすがに品がない。
じゃあもし自分がそうなったらどうするか?
まずそもそも、「勝ち馬に引っ付く」なんてことを考えません✨。
出世のために「媚びへつらう」とか嫌やし。一応言っておくと、先輩や上司を「立てる」くらいのことは、いい歳した大人なので、します。
けど、それくらいのもんです。
自分の人生を誰かに託すとか、ないわぁ。
↑みたいなことって、この本を読んだ大抵の人が持つ感想だと思うのですが、それでも現実にはいるんですよね・・・そういう品のない人が。。。
おー、怖。
それでは、また次回お会いしましょう!
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